川越駅小江戸巡回バス

我々が出掛けたのは4月最後の土曜日だった。
天気がとても良い。これからの小江戸川越散策に期待が盛り上がる。
10時10分に東武東上線「川越駅」に到着、駅西口に向かった。そこから「小江戸巡回バス」に乗車するのである。このバスは川越の主な見どころを巡回している。
1日乗り放題チケットは500円である。
因みに1回毎だとその度に180円のバス代となる。
バスは可愛らしいボンネットバスで赤と緑の2色のボディカラーがあるようだ。
25人も乗れば満員状態になる。


喜多院

先ずは喜多院で下車。
ここは正月3日のダルマ市で有名な、平安時代に創建されたと言われる寺院である。
ここから東照宮にも通じている。この東照宮は本家の日光のものをグッと小さくグッと簡素にした「日光東照宮」のミニチュア版のようなものである。
喜多院の境内はそれほど広くはないが10軒近い露店が出ている。未だ早いのか参拝客より鳩の方が多い。
普段は不信心の我々も取り敢えずは参拝である。
賽銭を投げ銅鑼を鳴らす。
写真でお分かりのように太い綱を銅鑼に当てて音を鳴らすのだが、これが中々うまく鳴らないのだ。4〜5回やってどうにか鳴らすことが出来たが、これでは賽銭の効果も期待薄である。



蔵の街

巡回バスに乗り、次ぎに向かったのが今回の本命「蔵の街」である。
この蔵の街は、幾たびかの大火にあった商人たちが火事にも耐える建物をとの考えから発展したものである。
バスを降りるとそこはすでに蔵の街で江戸時代へのタイムスリップの入り口である。


蔵造りの家並

ひときわ目に付く鐘楼「時の鐘」前を通り過ぎメインストリートに出る。
道の左右がズラリと蔵造りの商店である。
古い店は当然だが新しい店も蔵造りを模して建ててある。


蕎麦屋「寿庵」

丁度、昼飯時になったので散策は一時中断して蕎麦でも食べようと相成った。
蕎麦屋「寿庵」に入る。割と大きな店だ。テーブルも座敷も満員である。
我々は「割りこ蕎麦」を注文した。
この店は自家製粉した蕎麦粉を使用しているそうだが全部が茶蕎麦になってしまっているのでその分、蕎麦自体の香りが少なく勿体ない。
その代わり付け汁が美味かった。蕎麦より数段美味い。
これを蕎麦湯で割る。酒の肴に丁度良い。
「そばビール」というのも飲んでみた。普通のビールより少し重い感じである。
これが何と輸入ビールであった。よく分からぬ。



蔵造りの家

昼飯を終え蔵の街の散策再開である。
この頃になると人が溢れ、ぶつからずに歩くのが難しい程の混雑になっていた。
この通りは川越の主要道でもあるので片側1車線ずつながら交通量が甚だしく多い。人を避け車を避けての散策である。
蔵の店先を覗きながら歩く。
包丁・刃物の店、骨董店、酒屋、醤油屋、衣料品店、菓子・土産物の店等々。


郷に入れば郷に従うコンビニ

この通りで面白い店を発見し我々は笑ってしまった。
コンビニのサンクスである。
店の中はごく当たり前のコンビニなのだが店の造りが蔵造り風なのだ。
当然と言うか流石と言うか小江戸川越は定型化が当然のコンビニの姿形まで変えてしまった。
大いに愉快で楽しい、そして蔵の街に相応しい佇まいにした店のオーナーの心意気と苦労が察せられた。


時の鐘

メインストリートを少し戻ると鐘楼「時の鐘」である。
400年近く年前から川越城下に時を知らせてきたというだけに風格に満ち満ちた木造の鐘楼だ。
蔵の家並みからすっくと立ち上がった姿は辺りを睥睨しているようにも、また城下を慈しんでいるようにも見える。
現在でも6時、正午、15時、18時の4回この鐘の音が城下に時を知らせている。


目に効く「薬師神社」

この鐘楼の奥に「薬師神社」が有る。
一見すると何でもないただの古ぼけた神社だが、ここは目に効く神社だそうで沢山の絵馬が掛かっている。
その殆どに「目が良く成りますように」と言ったような事が書かれている。
我々も賽銭を投げ、パソコンで酷使している目がこれ以上悪くならないようにお願いした。


蔵造り資料館

この資料館は、元は煙草商「万文」の蔵である。
入館料大人1人100円を払い中に入る。
一番奥が文庫蔵、ここはとても小さく狭い、その手前が煙草蔵で文庫蔵の2.5倍程度の広さでここに当時の品々が展示されている。
そして一番手前、通りに面した部分が店蔵である。
当時はここで煙草の商いが行われていたのだろうが今は入場券売場である。


菓子屋横町

蔵造り資料館を後に「菓子屋横町」へ行く。
L字形をした100メートルほどの道の両脇に十数店の菓子屋が軒を並べる。
ここは車が入って来ないこともありメインストリート以上に人人人の波である。

菓子屋は芋羊羹、芋納豆、芋煎餅、芋金鍔などの芋菓子主体の店を中心に飴や駄菓子を売る或いは食べさせる店が多い。





菓子屋横町

我々も「あげまん」と言う1個100円のどこかの映画と同じような名前の饅頭を食べてみた。
芋を餡状にしてそれを胡麻を塗した皮で包み、油で揚げた物である。
芋が好きで饅頭が嫌いでなく油もOKという方にはお勧めである。
思った程には油っぽくなかったが我々には1個で十分なボリュームであった。
焼き立ての煎餅1枚100円も食べてみた。
香ばしく多少のシットリ感があり、まずまずの味である。
店内で焙じ茶のサービスがある。
人中で渇いた喉にはには嬉しいサービスである。



今回の小江戸川越は天気にも恵まれ、春というより初夏といっても良いほどの散策日和だった。
それ故に何処に足を向けても人と車だらけであった。
本来ならばもっと風情を味わい、のーんびりゆったりと散策が出来ればナァーと言うのが我々の思いである。
しかしながらここ2〜3年は小江戸ブームで休日に限らず平日でも結構な人出があるとお店の人が言っていた。
まして、川越市はそれで町興しをし成功させた。
年中何等かの催しを行っている。
当分は喧噪が続くのであろう。
ブームが去り喧噪がなくなった頃にもう一度訪れてみたい気もするが・・・


写真:Taka
文章:Roshi