永観堂

我々Roshi&Takaの二人が出掛けたのは03(平成15)年、11月30日だった。天気予報が当たり、神奈川は土砂降りの中での出発である。
今回の旅は神奈川〜京都をバスツアー1泊2日で巡る『京都紅葉バスツアー』というRoshi&Takaとしては初めての試みである。
雨の中、バスは一路京都を目指し、約7時間で京都市内に辿り着いた。この頃には雨も小降りになり傘は殆ど要らない状態になっていた。先ず最初に訪れたのは『永観堂』である。紅葉ツアーが選んだ地だけに紅葉が素晴らしいのは言うまでもない。この永観堂、思った以上に広大な敷地を持っている。我々は人の居ない所、紅葉の見事な所を選びながら歩いたつもりだが何処でも人とぶつかりながら歩く結果となった。まぁ、この人出と紅葉では仕方ないか・・・。


高台寺

永観堂に居る内にすっかり薄暗くなってしまった。次に向かったのは『高台寺』である。一般拝観は終え、ライトアップ拝観に切り替わった直後に寺に着いた。拝観券を求める人が長蛇の列を作っている。我々も行列の最後尾に並んだ。15分程並んでライトアップ用の拝観券を買って中に入る。







ライトアップと言ってもお寺全体を照らす訳ではないので足下がおぼつかない。おぼつかない中を人の流れに身を任せて進んで行く。



高台寺

何ヶ所かのライトアップポイントで写真を撮り進んで行くと目を見張るような光景に出くわした。
紅葉を映した大きな池に出会ったのである。
息を飲む光景とは正しくこの景色のためにあるような形容である。

波一つない池の面に周囲の紅葉が映り込み、幽玄の世界を醸し出している。
この池の光景を見ただけでも京都に来た甲斐があると感嘆した。


清水寺
次に向かったのはここもライトアップされている『清水寺』である。
お寺に向かう参道は大勢の人でごった返していた。ようやく山門下に辿り着くもここも拝観券購入の行列である。
ここはさほど待つこともなくスムーズに券を購入、清水の舞台へと上がる。さすがの清水寺、舞台の上は人の波で埋まっている。写真を撮るにも落ち着かない。音羽の滝も大行列である。我々は滝の水を飲むことなくバスの駐車場に向かった。疲れた。


京会席

清水寺を最後に1日目は終了し宿泊先のホテルに向かった。
ホテル到着、それぞれの部屋の割り振りを受け室内に入る。旅装を解き先ずは夕飯の食事処である。
我々はかねてからインターネットで見付けておいた『京会席と創作料理・招月庵』に予約の電話を入れた。
ホテルをタクシーで出発、何のことはない前回の京都旅行で行った湯豆腐のお店の直ぐ傍であった。
案内されて炬燵座敷に上がる。我々は「招月庵コース、(前菜からデザートまで約11種類、6000円)」を注文した。
メニューをちょっと拾ってみると鮮魚五種盛り合せ、和牛ロースステーキ柚子塩風味、牡蠣酒煎り等々である。
全般的には美味と言っていい味である。ただ“京会席”を期待した我々には“創作料理”の方が勝ったメニューもあり複雑な気持でもあった。この店は先斗町の真ん中くらいに位置するらしいのだが、京都は道筋一本違っただけで表情が変わる町を実感させてくれた。


下鴨神社

一夜明けて翌日12月1日最初は『下鴨神社』に向かった。
今回の旅行で初めての神社である。朝が早かったためか参詣客は我々バスツアー客以外は殆ど居ない。
雨の上がった境内は緑の香りと紅葉が連なり身が引き締まる思いである。尤も、前日に比べて気温が低いせいもあるのだろうが・・・。この神社は干支により参拝する神と小さな社が個々に配置されている。勿論、本殿で干支に関係なく賽銭は受け付けている。この干支別の小さな社、効き目はあるのかなぁ。


鞍馬寺

次に向かったのは『鞍馬寺』である。
ここも紅葉のお寺である。見た目には平面的な感じがするが本殿は山の上にある。
本殿には徒歩でも行けるが片道100円のケーブルカーがある。我々は迷うことなくケーブルカーを選択した。
ケーブルカーに乗ること2分で本殿近くの駅に到着。そこからまた10分くらい歩いてやっと本殿到着である。本殿付近からの眺めは絶景である。鞍馬の山、周辺の山々がそこかしこで紅葉を楽しませてくれる。一通り見、写真を撮り、下山のケーブルカーに乗り、バスに乗り継ぎ次へと向かった。


貴船神社

ここ『貴船神社』は水の神様、縁結びの神様である。
本殿、境内ともに広くはないが厳かと言うより華やかな感じのする神社である。
古色蒼然たるお社に華やかさを感じるのも縁結びと言うキーワードからの発想なのかも知れない。
そして水の神様でもあるので照っては雨乞い、降り過ぎては雨晴らしの行も行うと言う。
縁結びと水、正しく男と女の有り様と言えなくもない。


山里湯豆腐膳

貴船神社の参詣を終え、いよいよ昼食である。何の知識もない我々が選んだのは貴船神社の直ぐ下にある川魚料理の店『きらく』である。
オーダーしたのは「山里湯豆腐御膳 3300円」と言うこの店の売り物のメニューらしい。
川を見下ろす座敷に通されビールを飲んでいると料理が運ばれてくる。ランチと言えども懐石風に先付けから始まり最後のデザートまで数種類の料理が供される。岩魚の甘露煮やアマゴの天麩羅等々に湯豆腐も出た。
旅行二日目は京都の山の方角に来ているので全般に冷える。冷えている身体に湯豆腐は格別である。


今回の「京都紅葉バスツアー」は往きと帰りが雨に祟られた旅行であった。
出発地では折からの土砂降りに頭の先から爪先まで余すところなくずぶ濡れになり、帰着地でも小雨に降られた。
しかし、京都に居た時は不思議と雨には祟られず、精々帽子があればといった程度の降りですんだ。
我々Roshi&Takaも京都には何度か出掛けているが紅葉の時季は初めてであった。
心配された紅葉渋滞にも遭わず、特段の事故もなく帰り着けたのは古都京都の各神社仏閣のお陰だろうか。
各地の見事な紅葉、ライトアップの艶やかさ、忘れられないことばかりである。
それにしても片道7時間のバスはやはり辛かったなぁ。Takaさん、今度は新幹線でね・・・・・。

写真:Taka
文章:Roshi