真如堂

我々Roshi&Taka二人が出掛けたのはゴールデンウィークの始まりと言われた03年4月26日の土曜日である。
1泊という忙しない日程で東京から新幹線「のぞみ」に乗り京都着は午後12時過ぎ、ホテルに荷物を置き早速に京都巡りのスタートである。
最初に訪れたのは『真如堂』で本名を『鈴聲山 真正極楽寺』と言う天台宗のお寺で、紅葉のお寺としてシーズン中は賑わうようである。この時季は当然ながら紅葉はなく楓の緑が風に揺れ参拝客を迎えてくれる。
参拝客といっても紅葉の時期ではないので人出は少なく閑散として落ち着いた風情である。
紅葉シーズン以外は閑散が当たり前のお寺さんであるらしい。


平安神宮

次に向かったのは『平安神宮』である。途中で外国人観光客に道を聞かれ、朱色の山門の前まで同道した。
真如堂のモノトーンに比べ朱色の山門が鮮やかである。日本の社寺建築にしては左右対称のシンメトリックが珍しい。この社域に「神苑」という庭園がある。東西南北の四つの区域に分かれ、広さ30000uの明治期の代表的な庭園として名高く、四季の樹木や花々で賑わう筈らしいのだが我々が訪れた時は端境期らしく、これといった花々には出会えなかった。


南禅寺

そして『南禅寺』である。
南禅寺は今から710年あまり昔の正応4年(1291年)に建立された臨済宗のお寺である。
かの大泥棒、石川五右衛門が三門から『絶景かな、絶景かな』と言ったとされているが実際には五右衛門の生きた時代と南禅寺の建立には時代に大きな隔たりがあり歌舞伎の上だけの事らしい。





ここ南禅寺で珍しいものを見付けた。琵琶湖疎水「水路閣」である。その名の通り琵琶湖の水を煉瓦で出来た橋上水路で流しているのだ。全長93メートル、幅4mで悠々と流れている。勿論、この疎水は南禅寺で終わる訳ではなく先へ先へと流れて行く。仏教建築の傍らに洋風を思わせる煉瓦造りの疎水路が通っている風景は見る者を不思議な感覚にさせる。

祥風楼

食事処は『祥風楼』(075-213-3155)という『京のおばんざい』の店である。
この店は♪カッパッパールッパッパーで有名な黄桜酒造が出店している。
カウンターの上には、おばんざいと言われる総菜が大皿に盛られて並んでいる。
黄桜酒造が造っているビールもある。飲んでみた。普通のビールと黒ビールの中間の味と色である。
肴におばんざいの盛り合わせを注文、品数にして7品程度の総菜が運ばれて来た。
アルコールにもご飯にも合う味で、京の薄味というほどに薄くはなく関東ほどには濃くない味付けといったところだろうか。この店は一見の観光客には中々分からない場所にある。我々も携帯電話で道を聞きながら店を探し当てた。


仁和寺

京都二日目の最初に訪れたのは『仁和寺』である。平安時代の仁和4年(888年)に宇多天皇によって完成された。
この寺での主目的は遅咲きの桜である。しかし、殆どが散ってしまい花を付けているのは1〜2本しかない。まぁ、季節には我々の思惑を斟酌する術はないだろうが・・・。
しかし、桜にも増して素晴らしいのが庭園と、そこかしこにある国宝や重文の数々である。これは見事である。先ずは『仁和寺御殿』、内部も優美で荘厳だが箒目に玉砂利を流した庭園がまた素晴らしい。
その他の寺域にも金堂、五重塔、等々が連なり見飽きることがない。桜の慰めには過分にして十分な思いである。


平野神社

『平野神社』は延暦13年(794年)桓武天皇の命によって建立された。
ここのお目当ても遅咲きの桜だったが仁和寺と同様に殆ど散っていた。
思っていたほどには大きなお宮さんではなく、桜の終わったこの時期は参拝する人も殆どなくひっそりとしている。
我々も何枚かの写真を撮り次の散策地へと歩を進めた。


北野天満宮

『北野天満宮』は菅原道真を祭神として始まり、現在の社殿は慶長12年豊臣秀頼が造営したものである。
こちらの神社は如何にも神社らしい神社である。
正月番組の中継などによく登場するのでご存知の方も沢山おいでのことと思う。メインストリートに面しているだけに参拝客も多い。学問の神様を祀っているだけに若い人の参拝も多く見受けられた。
北野天満宮を後に、歩き疲れ、空腹に促されて昼食へと向かった。


豆水楼

京都に行ったら湯豆腐ということは我々の出発前からのお約束であった。我々の入った店は木屋町通三条上ルところの豆腐料理屋『豆水楼』(075-251-1600)である。
先ずは生ビールで乾いた喉を湿らせてから「おまかせコース 3500円(税・サ別) 一汁五菜」を注文した。
お腹が空いているせいもあるだろうがどの料理も美味である。豆腐料理店だけに湯豆腐の付け汁が美味しい。勿論、豆腐の美味さは言うまでもない。しかし、特筆すべきことは、湯豆腐を食べ終わって暫くすると仲居さんが「お代わりは如何ですか」と聞きに来たことだ。まだお腹に余裕があるのでお代わりをお願いする。そしてそれが食べ終わると又お代わり如何と来た。お願いするとお玉で食べやすい大きさにして湯豆腐桶に入れてくれる。そうです!湯豆腐はお代わり自由だったのです。三度目のお代わりはさすがに気が引けてしまったが、やっぱりもう一回お代わりをしておけばと後悔した。


祇園

京都の旅一泊二日であちらこちらを散策した。特に祇園界隈は京都歌舞練場の『都をどり』とJRA場外馬券売場の混雑で人がごった返していた。都をどりの観覧を終えた人々、馬券売場を出入りする人々、我々のような観光客が犇めき合っている。
天気は真夏並みに暑く人々の熱気と相まって渦を巻いている。
夜は祇園のクラブ「ル・ナン・ブルー」にも出掛けてみた。お安い料金とは言えないが旅の徒然の一興である。
クラブの女性たちの京都弁は耳に心地よい。お酒の酔いと京都弁に酔い店を後にした。(ゆかりさん、麻亜子さん、多恵さん、みなさん楽しかったよ〜)


今回の旅は歩いた、歩いた。本当によく歩いた。
観光マップによれば1日目は主に『哲学の道・南禅寺』地区、2日目は『きぬかけの道』地区を歩いたことになる。
1日目はどんよりとした曇り空だったが2日目は真夏を思わせる暑さであった。
日差しもほぼ真上から照りつける時間帯を歩いていたのでうっすらと日焼けもした。
帰りの新幹線では無事に済んだ旅行に乾杯し駅弁を食し微睡みながら東京駅に到着した。
東京〜京都間が僅か2時間と少々の時代に自分の足で各地を巡る。足が痛むたびに今回の京都の旅を思い出すことだろう。

写真:Taka
文章:Roshi