水戸偕楽園

我々Roshi & Takaが訪れたのは2001(平成13)年3月中旬だった。
以前に訪れた時は前年11月だったので当然のことながら梅は咲いておらず、梅の時季に再訪しようとの思いを実現させたのだった。
この時季の偕楽園は“梅まつり”で臨時駅の「偕楽園」で電車を降りて前の道路を横切り常磐神社への石段を登り偕楽園へと向かう。



梅真っ盛りと思いきや、思っていたほどの感じではない。
???と思ってよく見ると盛りを過ぎた梅が七割方であった。しかし良くしたもので偕楽園の梅は早咲き・中咲き・遅咲きと揃えてあるので“梅まつり”の時季ならば寂しい思いをせずに梅を楽しむことが出来る。
寂しいどころか人波で辟易するかも知れない。



偕楽園のメインスポットをほんのすこし外れると、とても落ち着いた場所がある。
本数は少ないが、それでも見事な花を付けた梅を楽しむ事が出来る。
池を従えた梅の紅白が楚々として優しく優雅である。



このスポットは、どちらかというと団体客や多人数よりも家族連れやペア向きかも知れない。
梅が少ないだけに観光客が押し寄せることもなくノーンビリと落ち着けて人波の煩わしさから離れ、いつまでも微睡んでいられそうだ。



園内には“六名木”と言われるものやその他、名のある梅が多数ある。
その殆どが盛りを過ぎていたがこの「内裏」はご覧のようにしっかりと花を結び蕾も固く淡く香り梅の時季の長さを実感させてくれる。


“梅まつり”のこの時季だけ園内には「水戸の梅大使」なる妙齢の娘さんが現れる。
偕楽園の案内や園内スポットの案内そして写真撮影のモデルとして大活躍である。
出没する時間は決まっているようなので運が良ければ会えるかも知れない。



目のご馳走は梅で満喫したので次は口へのご馳走である。
この地方のこの時季は何と言っても鮟鱇である。
予めネットで調べておいた水戸駅近くの「割烹魚周」(水戸観光協会加盟店)に向かった。
2階の個室に通され鮟鱇のコース料理を注文、それほど待つこともなく料理が運ばれて来た。



それぞれに美味であったが我々が特に気に入ったのは「鮟鱇の共酢」であった。
鮟鱇の肝・皮・胃袋・身などを店独自の味噌で和えて食す。
アンキモは居酒屋や小料理屋のメニューに珍しくないが、この店のものは絶品である。
アンキモ独特のネットリ感と歯触り、舌触りがそこらの飲食店とは格段に違う。
臭みも全くなくコースとは別に追加したほどである。
やはり、本場の美味いものはやはり美味い一言である。



食事も終わりに近づいた頃に店の女将が、水戸名物の納豆の製造元が近くにあるので寄ってみてはどうかと言ってくれた。
電話で問い合わせて貰ったところ『工場は動いていないが資料館は開館しているのでどうぞ』とのことなので早速に訪れたのが“天狗納豆”である。
ここの製品は各地に出回っているので名前をご存じの方もいるだろう。
資料館を見終えたらお土産である。

各種詰め合わせなどがあり便利である。



今回の旅も毎度のことながら目標が決まっていた。“偕楽園の梅”と“鮟鱇”である。そしてどちらも満足のいくものであった。
旅とは先ず見ること、感じることであり、そして美味いものを食することであろう。目標が決まっていても必ずしもドンピシャとはまるとは限らないが今回は数少ないドンピシャの旅であった。
旅に出るなら、行き当たりばったりも悪くはないがチョッと下調べをして行くと思った以上の何かに出会えるのは確かなように思うのだが如何だろうか。
写真:Taka 文章:Roshi