六義園染井門

出掛けたのは03年4月6日の日曜日だった。
前日が雨だったのでこの日の人出はもの凄いものだった。
JR駒込駅を降りて直ぐに人人人の波が六義園を目指している。
我々も遅れじと人波の後に続く。

駅から数分で染井門入り口だが大渋滞が発生していた。
入園券を買い求める列が延々と続いているのだ。
後から後から押し寄せるため列の一番後ろが分からず染井門付近は人々の停滞が起きていた。



枝垂れ桜

ようやくの思いで入園券(大人300円)を購入し入場する。
林の中の道、千里場を数分ほど進むと目の前に六義園のシンボル的な存在の枝垂れ桜が現れた。
正に満開で、人々が取り囲み写真やビデオの撮影に勤しんでいる。
この枝垂れ桜、ご覧のようにとても大きい。
どこからどう撮っても人が写り込んでしまう。
間近で見て花を楽しむも良し、少し離れて枝振りを見るのも良しなのだが人の混雑が無ければ言うこと無し、は少し贅沢かな。



このへんで六義園について少し触れておきたい。
パンフレットに寄れば元禄15年に五代将軍徳川綱吉の信任が厚かった柳沢吉保が自ら設計した回遊式築山泉水庭園で現在は国の特別名勝に指定されている。
元禄の御代から平成に至る今日まで枝垂れ桜は可憐な色で年月を見続けて来たのだろうか。



枝垂れ桜の中から空を見上げる。濃密な花の集まりで隙間から少しだけ青空が覗ける。
この枝垂れ桜を見上げる人は異口同音に大きい、見事、立派等の形容詞で感嘆する。
我々もこれらの意見には賛同するがやはり人がもっと少なければとつくづく思った。
大勢の人々に含まれる自分たちのことは忘れて・・・。



玉藻の磯

枝垂れ桜に多くを割いたがここ六義園の本来は池を中心とした庭園にある。
池に幾つかの島を配し、池縁には磯や湊が配され、幾つかの橋も架けられている。
勿論、庭園の中の池であるから島も橋も全てが小さいが壮麗な美しさを見せている。



千鳥橋付近

池を見ながら時計方向に進んで行くと千鳥橋である。
ここからの眺めも素晴らしい。行く手の桜も枝垂れ桜とはまた違う趣である。
枝垂れ桜が荘厳と華麗な感じならこちらの桜は可憐と言えようか。



吹上茶屋

千鳥橋から歩を進めると吹上浜から吹上茶屋に至る。
この辺りも桜の木が多数植えられている。
正に桜天井の下を行くの感である。
そして桜天井の下をゆらゆらと行き白鴎橋を渡り藤代峠へと歩を進めた。



藤代峠

庭園の中の最高地、藤代峠に登る。ここは池全体が見渡せる絶景地である。
人出が多い割にはこの藤代峠に登る人は少ないようだ。
見た目には結構な高さがあるように錯覚するからかも知れない。
でも六義園に行ったらこの藤代峠はお勧めである。散策の時間が余り無くてもこの峠にさえ登れば六義園の七割は見渡せる。
園内を一巡りして売店に向かった。


今回のお花見は天候に恵まれた。前日の雨が嘘のように上がりお日様がキラキラと照りつける。
その分、人出も多い。
前述の通り入場券売場は渋滞、園内も渋滞、トイレも売店も渋滞であった。
それでも枝垂れ桜を初めとして沢山の桜を堪能できた。
しかし、こんなに凄い人出に一番驚いているのは満開の桜たちだったかも知れない。


写真:Taka
文章:Roshi