武田信玄公像

01年9月22日(土)横浜7時46分発のJR「はまかいじ1号」で甲府に出掛けた。
甲府までは2時間少々である。甲府駅に着き列車を降りると結構暑い。暑いが盆地の暑さを覚悟していたほどの暑さではない。駅前に出ると武田信玄公の威風堂々とした銅像が我々Roshi&Takaの二人を迎えてくれた。甲府に着いたのが10時前だったので昼食を摂るには早過ぎ、何処か見る所はないかと思案し、見付けたのが「山梨宝石博物館」(055-252-3746)である。日本唯一の宝石博物館とのことだが山梨らしく水晶がメインで展示されている。


「ちよだ」のおざら

そうこうしている内に昼食時になった。
向かったのは“おざら”発祥の名店と言われる「ちよだ」(0120-222-5613)である。
この店は山梨名物の“ほうとう”を冷やして食べさせる工夫をした。それが“おざら”である。
そして“ほうとう”と違うのは付け汁が醤油味で、その中にネギ、人参、筍、挽肉などの具が入っていることだろうか。この“おざら”はサッパリしていて“ほうとう”が苦手の私Roshiにも美味しく食す事ができた。



   
   
美味と言えば“馬刺”も美味しかった。
新鮮な馬刺にネギや生姜、ニンニクなどを載せて食べればビールも進むというものだ。



鹿皮工芸「印傳屋」

山梨工芸品と言って誰でも思い付くのが水晶細工や印鑑であろう。
そして、伝統工芸品の“甲州印傳”がある。
甲州印傳とは、なめした鹿皮に型紙を置き漆で様々な模様を付け、それを各種の製品に仕上げたものである。
甲州印傳の特徴は模様にトンボと菊が多用されていることだそうで、そのトンボや菊の模様に沢山のバリエーションがある。
我々が品物を買い求めた「印傳屋上原勇七本店」(055-233-1100)では、小は500円から、大はバッグの十数万円まである。我々が買い求めた品は勿論のこと小(安)であることは言うまでもない。


甲斐善光寺

この寺は今から400年ほど前に武田信玄が信濃善光寺を模して創建した寺で、戦火で信濃善光寺の本尊が失われるのを危ぶみ、甲州に移し安置したのが始まりという。
確かに見かけや造りは信濃善光寺にそっくりで、おまけに戒壇巡りまである正しくミニ善光寺である。しかし、信濃善光寺と違うのは賑やかさが全く無いことだろう。まず参道らしきものが無い。従って参道を賑わす各種商店も無い。人も殆ど歩いて居ない。閑静の一語であるが、正月や節句などではそれなりの賑わいがあるのだろう。我々は賽銭を投じ今回の甲斐路が無事ならんことをお願いして寺を後にした。


山梨県地場産業センター「ワインクラブ」

先ほどの善光寺から歩いて5分程度の場所に「山梨県地場産業センター」(055-237-1643)がある。この地場産業センターの2階に今夜の食事をする「ワインクラブ」(0120-85-1818)がある。先ずは一日の互いの労をねぎらってワインで乾杯。







ツマミは甲州名物の煮貝と馬刺の燻製である。メインはワインクラブお勧めのビーフシチューである。じっくりと煮込まれたビーフがとても柔らかくて美味しい。お値段はビーフシチューにパンとコーヒーのセットが2,050円である。


ぶどう狩り「勝玉園」

2日目は定期観光バスを利用した。
「甲斐路めぐり・ぶどう狩りコース(3500円)」(山梨交通 055-222-1300)というものである。
先ずはぶどう狩り園に到着。
滞在30分という時間で一人一房までは無料で食べられる。
この時期はベリーエーという品種だったが、その時々で品種は変わるとのこと。
しかし、たった一房の葡萄でも園までの往復と腰を屈めての収穫に30分は短いなぁ。


昇仙峡・仙娥滝

ぶどう狩り園から武田神社を経て今回の旅の主目的「昇仙峡」へと到着した。
昇仙峡は荒川の清流がつくる約4qの渓谷で、花崗岩の風化作用による奇石、奇岩が川に落ち込みまた断崖をなしている。
バスを降りて直ぐに滝見の散策路である。この滝は地殻の断層によって出来た高さ30mの滝で荒川の清流を落としている。時期的には紅葉の頃が一番の見頃らしいが、今回の旅のこの時期でも中々に見事だ。


昇仙峡・覚円峰

この昇仙峡の中でもシンボル的とも言えるのがこの「覚円峰」である。
昔、覚円というお坊さんが修行したことから名付けられたと言い、昇仙峡のガイドブックやパンフレット、旅番組などには必ず登場するのでご存じの方も多いのではないだろうか。
確かに周囲の奇石、奇岩すらも圧する際立った存在感を感じさせられる。



昇仙峡茶店「金渓館」

今回の定期観光バスには昼食は付いていない。バス料金を支払うときに申し込めば昼食を付ける事は出来るのだが我々は敢えて昼食は申し込まなかった。
それはTakaさんが「金渓館」(055-251-8440)という食事処を見付けていたのだ。この金渓館は創業が明治35年という手打ち蕎麦の老舗である。そして、ロケーションも昇仙峡のシンボル覚円峰を仰ぎ見る絶好の地にあるのだ。これをTakaさんが見逃す筈はない。注文したのはこの店の代表的メニューのざる蕎麦(850円)である。『どうせ観光地の食事処』などと侮ってはいけない。流石に明治の創業の老舗だけに、田舎風の短めの手打ち蕎麦だが香りが良く、喉ごしが涼しい。薬味もネギ、大根おろし、茗荷、ユズときめ細かい。


今回の旅は天候に恵まれた旅だった。そして富士山に恵まれた旅でもあった。
甲府に滞在していた二日間とも朝晩は涼しく、日中は少し暑いといった具合だった。
盆地ということでもっと暑いかと覚悟していたが良い意味で、はぐらかされたようだ。富士山にしても、観光バスのガイド嬢の説明によると、甲府盆地で富士山が見えるのは例年だともっと涼しくなってからで、この時季に見えるのは本当に珍しいとのこと。
確かに観光バスに乗っていると前後左右の何れかに必ず富士山が見えていた。まるで我々の旅の供をしているように。


写真:Taka
文章:Roshi