川下り乗船場

我々が柳川に着いたのは1月吉日。 
天気は良かったが寒い。 
九州と言えども寒いものは寒い。何しろ1月だ
柳川と言っても特にこれと言った観光名所は思い浮かばない。
それでも「柳川下り」はご存知だろう

西鉄柳川駅の改札を出ると直ぐに舟下りの案内所がある。
そこで2枚の切符を購入。
暫くすると迎えのマイクロバスがやって来た。
それに乗り5分少々で乗船場である。
最低8人集まれば舟が出るという。 
だが今はオフシーズン待っても待っても
人が集まる様子はない


炬燵舟で川下り

それでも30分を過ぎた頃には我々を含め5人になった。
ここで舟会社も諦めたのだろう。
いよいよ舟下りのスタートとなった

舟は冬の時季専用の炬燵舟である。
なかなか情緒がある。
しかも本来なら20人くらいが乗る筈の舟に5人である



12橋巡り

前後左右ゆとりだらけだ
但し 上下にゆとりは無い
床板の下は川の流れだから当然
でもどうして上にゆとりが無いのかとお思いかも知れない
そう 普通に川面を下っている分には青空天井だ
だがこの柳川下りは別名12橋巡りと言うほど橋が多い


その橋と舟上の我々の頭とが極端に近いのである。橋下をくぐる時は乗舟客全員が仰向けのけぞる。普通の状態で近所のみんなが一斉にのけぞるなどという状態が有るだろうか。
だがこの舟下りではのけぞるような橋がいくつもある。
そんなこんなを乗せながら舟はノンビリと柳川を下る。
ここ柳川は北原白秋の生誕地ということで川縁に多数の歌碑がある。
船頭さんが解説をしてくれるのだが方言丸出しなので半分は分からない。分からないがニュアンスで何となく分かった気になる


柳並木

夏は川風に吹かれ。
秋は紅葉をめでつつ。
それぞれに情緒が有るだろうが炬燵舟は冬にしか味わえない。
ビールを飲み炬燵で暖めたワンカップを飲みつつユラユラと1時間程度で下舟場に着く。
舟を下りあらためて川岸を見通すと柳並木が続く。
だから柳川なのかなぁ・・・。


若松屋

舟に揺られ腹も空いた。
折しも昼飯時である。
ここで柳川名物の鰻のせいろ蒸しを食す。
店はこの方面では有名らしい「若松屋」である。
せいろ蒸しの前に先ず一杯となれば肴である。
うざく(蒲焼きの細切りとキュウリを和えた酢の物)を頼む。
これが美味かった。
一本のつもりの銚子が三本もやってしまった


うなぎ漁

そして目当てのせいろ蒸しだ
これは角形のせいろにご飯を盛り鰻の蒲焼きを混ぜ込み上に錦糸卵を載せたものである。
3ランクあるがこれは鰻の量によるらしい。
折角の旅先である
少し贅沢しても一番上のランクがお勧めである


御花

さて 食後の腹ごなしである。
直ぐ傍にこの地のお殿様の別荘「御花・松濤園」がある
洋館と日本建築の邸宅それと池を中心とした庭園である。
規模はそれほど大きくはないがそれなりの趣が感じられる


松濤園

ただ残念なのは日本三名園と言われる各庭園ほど大きくないので庭を拝見していても近所のマンションやビルが視界に入ってくることである。
マァ 観光地と言えどもそこに住む人の暮らしが有るのだから当然である


色々な残念は有っても、柳川はとても良いところだ。
機会が有れば一度訪れることをお勧めする。
それも多少の時季外れの方が良いかも知れぬ。
ノンビ〜リ出来ること請け合いである。 



写真:Taka
文章:Roshi